冤罪はなぜ起こるのか?原因と背景に迫る

冤罪とは、無実の罪を着せられた人々のことを指します。このような事件は、警察や検察、裁判所の手続き上のミス、誤った証言や証拠の扱い、証拠の隠蔽などによって引き起こされることがあります。この記事では、冤罪がなぜ起こるのかについて、その原因や背景について探求してみたいと思います。

冤罪事件によって無実の人々が逮捕、起訴、刑務所に収監されることは、その人々やその家族、そして社会にとって非常に悲惨なことです。冤罪事件は、警察や検察、裁判所などの司法制度の運用に問題があることを示しており、社会的にも重大な問題となっています。

冤罪が起こる主な原因としては、警察の捜査手法に問題があることが挙げられます。警察官は、犯罪を解決するために様々な手法を用いて捜査を行いますが、その手法が違法であったり、個人の権利を侵害するものであった場合、調査結果に疑問を持たざるを得ません。

また、証言や証拠に誤りがあることも冤罪事件の原因となります。証言には人間の主観が入り込むため、偽証や誤った証言がなされることがあります。また、DNA鑑定の進歩によって、かつては有罪とされた事件が再審にかけられ、冤罪が明らかになるケースも少なくありません。

さらに、裁判官が公正な判断を下さなかったり、検察側が証拠を隠蔽したりすることも冤罪事件を引き起こすことがあります。また、報道機関が事件を過剰に報道し、被告人に対する社会的な偏見を生み出すこともあります。

冤罪事件は、被告人にとっては人生を狂わせるものであり、社会にとっては信頼できる司法制度の維持にとっても深刻な問題です。そのため、冤罪を防ぐためには、警察や検察、裁判所、報道機関など、司法制度に関与する様々な人々が、より公正かつ正確な手続きを行うことが求められます。

まず、警察は適切な捜査手法を用いることが必要です。調査に必要な検証や証拠を取得するために、捜査手法を正当化するための法的な根拠があるかどうかを確認する必要があります。また、証拠を隠蔽したり、証言を強制するなどの不正行為は厳しく取り締まる必要があります。

検察官は、証拠を適切に処理し、被告人の権利を尊重することが必要です。被告人に対する偏見や、彼らが有罪とされるという先入観に基づく判断を行わないことが重要です。また、裁判所に提出される証拠に対する厳格な規則がありますが、そのルールを遵守することが必要です。

裁判官は、被告人に対して公正な判断を下すことが求められます。被告人が無罪であることが明らかになった場合、彼らが無実の罪を受けることは許されないため、彼らを補償する仕組みが必要です。

報道機関は、冤罪事件を報道する際に、報道倫理に則って正確な情報を提供することが必要です。報道が公正かつバランスのとれたものであることが重要であり、被告人に対する社会的な偏見を生まないようにすることが求められます。

以上のように、冤罪を防ぐためには、司法制度の関係者が彼ら自身の責任を持って正確かつ公正な手続きを行うことが重要です。また、社会全体が冤罪を受けた人々に対して理解を示し、彼らの生活を再建するための支援を提供することも重要です。

冤罪事件は、被害者にとっては非常に苦痛な経験であり、社会にとっても深刻な問題です。このような事件を防ぐためには、すべての関係者が協力して、より公正な司法制度の実現が求められます。そして、冤罪を防ぐためには、社会全体が関心を持ち、適切な措置を講じることが必要です。

例えば、被告人の弁護士に対する補助金制度を改善することが考えられます。弁護士の費用は、冤罪事件において被告人にとって重要な問題です。多くの被告人は弁護士を雇うことができず、公証人による弁護を受けることが多いため、冤罪事件で不公正な判決が下される可能性が高くなってしまいます。そのため、弁護士の費用を被告人に補助することで、彼らが適切な弁護を受けることができるようにすることが必要です。

また、司法制度の透明性を高めるために、裁判所での証拠の録音・録画などの技術的な改善も必要です。証拠の録音・録画は、証言や警察の聞き取り、証拠の収集などを正確に残すことができるため、裁判での判断をより正確にすることができます。

さらに、誤った犯罪捜査を避けるために、警察による聴取・尋問の際の録音・録画を義務化することが重要です。警察の聴取・尋問は、証言の信頼性を検証するために必要な手段ですが、時には虚偽の証言を引き出してしまうことがあります。録音・録画がされることで、虚偽の証言を防ぎ、証言の正確性を確保することができます。

最後に、冤罪に対する社会的な認識を向上させることが必要です。社会に対して、冤罪事件に対して理解を深める啓発活動を行うことが求められます。また、冤罪被害者に対して、再出発するための支援を提供することも必要です。冤罪事件により被害を受けた人々は、社会的に信用を失い、人生を再建することが非常に困難な場合があります。彼らが社会的な支援を受け、再び自分らしい人生を築くことができるよう、個人的な援助や就労支援など、様々な形で支援を提供することが必要です。

冤罪事件は、被告人の人生を破壊するだけでなく、社会全体にとっても深刻な問題です。冤罪を防ぐためには、司法制度の改善、警察の聴取・尋問の録音・録画の義務化、社会的な支援の充実など、様々な取り組みが必要です。それぞれの分野での改善が、冤罪の防止につながると考えられます。

冤罪事件は、誰にでも起こりうる問題です。冤罪被害者を増やさないためにも、社会全体で問題に向き合い、取り組みを進めていくことが重要です。

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勝又拓哉さんは無実です

今市事件とは

今市事件は冤罪!有罪判決には多くの疑問がある

今市事件の特徴は、①勝又さんの犯行を裏付ける物的証拠がない、②有罪を支える証拠は「自白」と「状況証拠」だけということです。

「自白」と客観的事実が矛盾する

「自白」では、
①被害者の両手両足をガムテープで縛った状態で立たせ、被害者の右肩を左手でつかみ、正面から右手で一気に10回刺した、5回くらい刺した時、被害者は崩れ膝立ちになったが、刺し続けた、



②その後被害者を投げ捨てた、③凶器や軍手などを帰る途中で捨てた、とされています。

しかしこの犯行態様は、被害者の刺創や現場の状況と矛盾します。

殺害方法と被害者についた幾何学模様の傷の矛盾

自白では、被害者は5回刺されたあと、立った状態から膝立ちになり、もう5回刺されたことになっています。他方、勝又さんは、同じ姿勢で胸を10回刺しているのだから、刺し傷の角度は最初の5回と後の5回で変わるはずであるが、ほぼ同じ角度で刺されたあとしか残っていません。被害者は肩をつかまれているはずであるのに、つかまれた跡であるアザはありません。

また、司法解剖を担当した教授によると、寝かされた状態で真上から刺されたと仮定すると、刺し傷の形状に良く符号すると述べています。

殺害方法と血痕との矛盾

「自白」どおり、立った状態で被害者を刺した場合、下の方(足の方)に流れた血痕があるはずです。しかし遺体には、身体の上方や左右に流れる血痕はありましたが、下の方に流れる血痕はありませんでした。
これは寝かせた状況で刺したことを示すものです。

殺害場所は別な場所

鑑定結果から、被害者の体から少なくとも1㍑の血液が流れ出たと考えられます。しかし、現場にある被害者の血痕は数滴で、弁護団の実験から地面に血が染み込んだ可能性がないことが明らかになりました。真犯人は、どこか別の場所で殺害して遺体を遺棄したと考えられます。

「自白」を裏付ける証拠がない

「わいせつ行為」の痕跡はない

「自白」では、当初「強姦した」、その後、「被害者の陰部や胸を触った」「キスしたり、自分の陰茎を握らせ、射精した」と供述しています。しかし、被害者にはわいせつ行為を受けた痕跡はありません。「自白」通りであれば遺体に付着しているはずの勝又さんのDNA(精液、汗、唾液、皮膚片など)は検出されていません。

第三者の犯行の可能性

被害者の頭に貼り付いていた粘着テープから、勝又さんのDNAは検出されず、第三者のDNAが存在する可能性が出ています。

この鑑定について、一審では警察の科捜研の鑑定結果のみが法廷に提出されました。控訴審において弁護団は、鑑定過程のデータの一部エレクトロフェログラム(電気泳動図)のチャートを開示させました。驚くべきことにこのデータには、被害者、勝又さん、鑑定人のDNAとも違う第三者のDNAが検出されていたことが判明しました。弁護団は、粘着テープは真犯人がもっとも接触した可能性が高く、勝又さんが犯人ではないことを示しています。

加えて、一部報道では、裁判では提出されませんでしたが、遺棄現場で栃木ナンバーのワゴン車が目撃されていたり、遺棄現場で勝又さんのものと違う運動靴の足跡が採取されていたりなど、勝又さん以外の存在を示す証拠が報じられています。

「秘密の暴露」がない

「自白」には、真犯人しか知りえない「秘密の暴露」がありません。凶器を捨てた場所、血で汚れた手を洗った公園などは不明のままで、凶器や軍手、被害者を脅したとされるスタンガン、返り血をあびたという衣服なども発見されていません。

また、勝又さんの自白では、殺害後の着衣の処分について一切触れられておらず、もし、自白通りなら返り血を浴びた服で、茨城県常陸大宮市から栃木県鹿沼市までの3時間あまりを運転していたことになります。

「自白」は強制されたもの

勝又さんは別件逮捕後、6月までの約4ヶ月間、連日長時間の取り調べが続き、232時間に及んでいます。取調官は、否認する勝又さんをビンタして壁にぶつけたり、「殺したというまで寝かさない」「殺してごめんなさいと50回言え」と拷問まがいの取調べを行っています。その上、台湾生まれの勝又さんは、日本語が不得手で、他人とうまくコミュニケーションをとることが出来ませんでした。警察は、このような勝又さんの弱みにも付け込んで「自白」調書を作りあげたのです。

憲法38条では、強制、長期間拘禁された後の自白は証拠とすることができないと明記されています。勝又さんの自白は、強制された(任意性がない)ものであり、有罪の証拠にはなりません。

しかも、裁判で公開された「自白」の録画映像には、警察に心身共に痛めつけられて人格的に屈服させられ「自白」に至る過程は録画・録音されていません。一審判決が根拠とした録画映像は、捜査機関に都合のよい取調べ場面だけが録音・録画された不当なものです。

なお、控訴審の判決において取調べの録音録画映像で事実認定した違法性を指摘し、一審判決を破棄しています。

不公正な裁判

検察の後出しジャンケン、それを認める裁判所

東京高裁は、状況証拠が乏しいことに加え、勝又さんの自白の核心部分に信用性もないことが明らかになり、この矛盾を解消し有罪と認定するために、検察に起訴状記載の殺害日時と場所について訴因(審判の対象となる犯罪事実)の変更を促しました。また、高裁が、勝又さんの犯人性に固執するあまり、罪となるべき事実から「動機」もなくなりました。

 
刑事裁判にとって、何が罪となる事実なのかが審判の対象です。攻撃防御の対象を明確に特定することは被告人・弁護人の防御権、弁護権を保障するうえで大事な刑事裁判の原則です。しかも、控訴審の事実調べの終盤になっての訴因の変更は「あと出しジャンケン」もいいとこで、とても公正な裁判とは言えません。

裁判官の独断

高裁判決は、状況証拠を総合評価すれば勝又さんの犯行を認定できるとしました。その中でも、別件逮捕を利用した身柄拘束中、勝又さんが本件殺人事件を大友検事に「自白」させられた数日後に、母親に宛てた手紙を有罪の決め手と判断しました。

その手紙には、「自分で引き起こした事件」「めいわくをかけてしまい、本当にごめんなさい」などという内容が記載され、検察は状況証拠の一つとして有罪を主張しました。これに対して、弁護側は別件逮捕された商標法違反事件とも読め、本件犯行を示すものではなく、多義的に解釈できると反論しています。

一審判決は、「手紙の記載内容のみからでは「事件」が何を指すのかは必ずしも明白とはいえない」「この手紙の存在のみでは、被告人の犯人性を直接的に起訴付ける事情とはなり得ない」と、多義的に解釈できると判断しています。高裁の裁判官の勝手な思い込みだけで、無期懲役とされてはたまりません。

無実が明らかとなった足利事件の菅家さんが、最初に家族に宛てた手紙も、家族に無実を信じてほしいのか、事件を起こした謝罪の意味なのか多義的に解釈できます。高裁判決は、足利事件や過去の冤罪事件の教訓が全く生かされていません。

高裁の論理矛盾

自白は信用できないが、やったのは間違いない

一審の宇都宮地裁(裁判員裁判)は、「状況証拠のみからは勝又さんの犯人性を認定できないが」、「自白」は「犯人でなければ語ることができない具体的、迫真性がある」として、無期懲役の有罪判決を言い渡しました。

二審の東京高裁では、弁護団が提出した法医学者の鑑定書や実験によれば、被害者の遺体にはわずかな血液しか残っておらず、少なくとも1㍑の血液が流れたのに、現場にある被害者の血痕は数滴であったことがわかりました。弁護団の実験から地面にしみ込んだ可能性も否定されました。また、遺体に残された創傷が自白の殺害態様と矛盾することも明らかにされました。

高裁判決は弁護団の反証にもとづき、殺害日時、場所、殺害態様の供述部分は信用できないと一審判決を破棄しました。東京高裁は、検察の有罪ストーリーが破綻した以上、無罪判決を言い渡すべきでした。

ところが、自白と客観的な事実との矛盾については「情状を良くするために虚構を作出した疑いは否定できない」とし、「一連の犯行を行った犯人であることを自認している点では信用できる」として、それを裏付ける証拠も示さず判断しました。

高裁判決は、これまでの冤罪事件の教訓を踏まえて判例が積み上げてきた自白の判断方法に反します。

第三者のDNA

勝又さんのDNA・指紋など一切検出されず 

高裁判決は、状況証拠を総合評価すれば勝又さんの犯行を認定できると言います。しかし、勝又さんの無罪方向の状況証拠は総合評価に入れずに切り捨てています。有罪のストーリーにあう証拠だけを集め、不都合な証拠を排除しては正しい結論を導きだすことはできません。高裁の状況証拠の判断は、最高裁判例にも反するものです。

勝又さんの「自白」では、当初「強姦」した、その後、「被害者の陰部や胸を触った」「キスをしたり、自分の陰茎を握らせ、射精した」と供述しています。しかし、被害者にはわいせつされた痕跡はありません。「自白」の通りであれば、遺体の髪の毛の中から採取された粘着テープや遺体に付着しているはずの勝又さんのDNA(精液、汗、唾液、皮膚片など)は検出されていません。また、高裁段階で開示された鑑定データからは、捜査関係者でもない第三者のDNAが存在することなどが明らかになっています。

ところが高裁は、検察官の「DNAが汚染された可能性がある」という主張を鵜呑みにして、勝又さんの無罪を示す証拠を科学的な根拠もなく排斥しました。

 

今市事件とはどんな事件だったのか?詳しく説明します

今市事件:弁護団および検察の主張と高裁の判断